孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
初恋ハニートラップ
一月四日、仕事始め。
オペ開始は明日からだ。
私が、明日外回りで入るオペ患者の術前訪問から戻ると――。
「最初から、どうしてだろうって思ってたのよ。あんな綺麗な顔、わざわざ隠す必要ある!?」
ナースステーションが、やけに華やいだ声で湧いていた。
「? なんの話?」
楕円形のテーブルの端、空いていた椅子を引いて、隣の後輩、中谷さんにコソッと訊ねる。
「脳外科の霧生先生です。シンデレラが本物のプリンセスになったって。……いや、プリンス?」
弾む声で教えられ、無意識に頬骨のあたりがひくっと引き攣った。
年末年始休暇中、霧生君が当直で救急センターの処置に入った時、オンコールで呼び出されていた看護師が、皆に大興奮で話し出したそうだ。
始業からたった一時間。
霧生君の大変貌は、すでに手術室看護師の間で話題沸騰だ。
「でもさ、逆にどうして?って思わない?」
「ああ、隠すのやめた理由?」
「やっぱり女じゃない? 彼女に口を酸っぱくして言われたとか~」
――肩身が狭い……。
私は盛り上がる同僚を尻目に、こそこそとノートパソコンを開いた。
いつも以上に、パソコンの起動が遅く感じる。
オペ開始は明日からだ。
私が、明日外回りで入るオペ患者の術前訪問から戻ると――。
「最初から、どうしてだろうって思ってたのよ。あんな綺麗な顔、わざわざ隠す必要ある!?」
ナースステーションが、やけに華やいだ声で湧いていた。
「? なんの話?」
楕円形のテーブルの端、空いていた椅子を引いて、隣の後輩、中谷さんにコソッと訊ねる。
「脳外科の霧生先生です。シンデレラが本物のプリンセスになったって。……いや、プリンス?」
弾む声で教えられ、無意識に頬骨のあたりがひくっと引き攣った。
年末年始休暇中、霧生君が当直で救急センターの処置に入った時、オンコールで呼び出されていた看護師が、皆に大興奮で話し出したそうだ。
始業からたった一時間。
霧生君の大変貌は、すでに手術室看護師の間で話題沸騰だ。
「でもさ、逆にどうして?って思わない?」
「ああ、隠すのやめた理由?」
「やっぱり女じゃない? 彼女に口を酸っぱくして言われたとか~」
――肩身が狭い……。
私は盛り上がる同僚を尻目に、こそこそとノートパソコンを開いた。
いつも以上に、パソコンの起動が遅く感じる。