孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
テーブルの上に伏せておいたスマホに着信があり、ブブブッと振動した。
何気なく手に取って、モニターを確認する。
LINEの通知だった。


発信者は、中学三年のクラスで学級委員を務めていた手塚(てづか)さんだ。
私とは高校まで一緒だった。
彼女は大学を卒業後、一般企業に就職して、会社の先輩と二年前に結婚した。
去年の夏に赤ちゃんが産まれて、今は子育て奮闘中。
それなのに、あの日私が送ったメッセージには、いち早く返信してくれた。


『霧生君か、懐かしいね。霞、高田(たかだ)さんたちが霧生君に絡むのをなんとかしたくて、クラスに馴染ませるために、まず自分が友達になるって果敢に挑んでた』


あの頃を懐かしむメッセージにも、私のお節介が存分に発揮されていて、少々バツが悪かった。
『正月休暇で実家に帰ってるから、なにか思い出したらまた連絡するよ』と言ってくれていた。
それから連絡はなく、私も半分諦めていたけれど、今日のメッセージは早速用件から始まっていた。


『卒業アルバムに、霧生君と霞の写真が載ってるの覚えてる? あれ、アルバム委員が高田さんたちに焚きつけられたんだって』


「え……」


私は、思わず目を瞠った。
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