孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
クラス全員が最低一箇所は載るように写真を選ばなきゃいけないのに、霧生君の写真がなくて困っていて――。
私はアルバムを開いたまま、スマホに視線を戻した。
『高田さんたちがアルバム委員に焚きつけたんだって。霞が声をかけた時を狙えばいい。二人は夫婦だから、卒業アルバムに一緒に載るなら霧生君が嫌がるわけがないって。夫婦だなんて。デリケートなところを突いた、酷い嫌がらせよね』
埋もれていた私の記憶が、ズルズルと芋づる式に引き摺り出される。
そうだ、思い出した。
私はこの後、霧生君に避けられるようになった。
もちろん、どうしてだか気になったけど、受験勉強に本腰を入れなきゃいけない時期だった。
他のことに頭を悩ませる余裕はなく、間もなく受験シーズンに突入してしまった。
霧生君とは一言も言葉を交わせないまま、あっという間に卒業式を迎えた。
クラスメイトとの別れは、人生の節目節目に必ずあるイベント。
一抹の寂しさを伴いながらも、私の中では特別な思い出とはならずに埋もれていき、十五年という年月ですっかり色褪せてしまった。
――でも、霧生君の方は?
私が出しゃばって彼に関わったせいで、私との仲を冷やかされた。
高田さんたちのデリケートな嫌がらせ――嫌な思い出は、卒業アルバムに残されている。
私はアルバムを開いたまま、スマホに視線を戻した。
『高田さんたちがアルバム委員に焚きつけたんだって。霞が声をかけた時を狙えばいい。二人は夫婦だから、卒業アルバムに一緒に載るなら霧生君が嫌がるわけがないって。夫婦だなんて。デリケートなところを突いた、酷い嫌がらせよね』
埋もれていた私の記憶が、ズルズルと芋づる式に引き摺り出される。
そうだ、思い出した。
私はこの後、霧生君に避けられるようになった。
もちろん、どうしてだか気になったけど、受験勉強に本腰を入れなきゃいけない時期だった。
他のことに頭を悩ませる余裕はなく、間もなく受験シーズンに突入してしまった。
霧生君とは一言も言葉を交わせないまま、あっという間に卒業式を迎えた。
クラスメイトとの別れは、人生の節目節目に必ずあるイベント。
一抹の寂しさを伴いながらも、私の中では特別な思い出とはならずに埋もれていき、十五年という年月ですっかり色褪せてしまった。
――でも、霧生君の方は?
私が出しゃばって彼に関わったせいで、私との仲を冷やかされた。
高田さんたちのデリケートな嫌がらせ――嫌な思い出は、卒業アルバムに残されている。