孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
私がキッチンで紅茶を淹れる間、霧生君は窓辺に立っていた。
クッションを勧めたのに、コートを羽織ったまま、薄く開いたカーテンの隙間からジッと外を見つめている。
私は彼を窺いながら、マグカップを二つ両手で持って、部屋に入った。
「霧生君。紅茶でいい?」
声が上擦りそうになるのを堪え、意識して元気に呼びかけると、霧生君がピクッと肩を動かす。
「ごめんねー。ビールでもあればよかったんだけど、なにせ三ヵ月以上部屋空けてたから、なにもなくて」
床に膝を突き、マグカップをテーブルに置きながら、どうでもいい言い訳をする私を目で追っている。
――視線が、落ち着かない。
「ええと……お菓子くらいあったかな。ポテトチップスとかでよければ……」
「なにもいらないから、座って」
ポンと手を打ち、いそいそと立ち上がろうとして、静かに阻まれた。
中途半端な体勢でピタリと止まる私に、霧生君は短く浅い息を吐き……。
「まず、先に謝る。ごめん」
改まって頭を下げられ、私は息をのんだ。
反応を返せずにいると、霧生君がゆっくり背を起こす。
「……この間の」
私が謝罪の意味をわかっていないと思ったのか、ぎこちなく視線を横に逃がす。
クッションを勧めたのに、コートを羽織ったまま、薄く開いたカーテンの隙間からジッと外を見つめている。
私は彼を窺いながら、マグカップを二つ両手で持って、部屋に入った。
「霧生君。紅茶でいい?」
声が上擦りそうになるのを堪え、意識して元気に呼びかけると、霧生君がピクッと肩を動かす。
「ごめんねー。ビールでもあればよかったんだけど、なにせ三ヵ月以上部屋空けてたから、なにもなくて」
床に膝を突き、マグカップをテーブルに置きながら、どうでもいい言い訳をする私を目で追っている。
――視線が、落ち着かない。
「ええと……お菓子くらいあったかな。ポテトチップスとかでよければ……」
「なにもいらないから、座って」
ポンと手を打ち、いそいそと立ち上がろうとして、静かに阻まれた。
中途半端な体勢でピタリと止まる私に、霧生君は短く浅い息を吐き……。
「まず、先に謝る。ごめん」
改まって頭を下げられ、私は息をのんだ。
反応を返せずにいると、霧生君がゆっくり背を起こす。
「……この間の」
私が謝罪の意味をわかっていないと思ったのか、ぎこちなく視線を横に逃がす。