孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす～契約離婚するはずが、容赦なく愛されました～

「そして看護師。茅萱さんと鹿野さんは、知識、経験、技術、三拍子揃った優秀な看護師です。看護師の確実且つ迅速な手技は、オペ時間短縮の上で、大きな武器になる」


私の隣で、操が表情を引き締めた。
私も自然と背筋が伸びる。


一色先生がその先を引き取り、リハビリテーション科のスタッフたちにも言葉をかけた。
皆、最初の戸惑いは失せ、『やってやろう！』という意気込みに満ちた、力強い瞳を交わし合っている。


「脳外科では、患者の命、体力、予後のすべてを勘案して、この方法しかないという結論に達しました。皆さんには、相当な負担とご苦労をかけることになりますが、力を貸していただきたい」


一色先生がそう締め括り、霧生君がサッと立ち上がった。


「どうか、お願いします」


誰よりも力のこもった眼差しを、皆に順繰りに注ぎ……最後に私の上で留まった。
真正面から視線がぶつかり、私の心臓がドキッと音を立てて跳ね上がった。
ドキドキと加速する胸に手を置き、スクラブをギュッと握りしめる。


静かに湧き上がる高揚感。
執刀医から確固たる信頼を寄せられ、ここにいる他の人たちと同様、私の中にも誇りと自信、そして挑戦心が漲っていく。


「……はいっ！」


私は、彼の瞳をジッと見つめ返して、皆と一緒に力一杯返事をした。
こうして、覚醒下クリッピング・脳腫瘍摘出術チームが発足した。