孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
エアコンを点けていない寝室の空気は冷たい。
だけど、私たちはすぐに熱くなり、まったく寒さを感じない。


「ん、ん……」


もう何度、深みに追い込まれるほどのキスを交わしただろう。
私も霧生君も、肌がしっとりと汗ばんでいる。
体温の境界がわからなくなるほどぴったりと重ね、舌を絡ませるだけで、恍惚としてしまう。
それなのに、執拗に……いや、丹念に胸を弄られ、


「あっ……あんっ……!」


私は喉を仰け反らせて腰を浮かせた。
霧生君の唇が喉を這い、首筋を伝って胸の頂点に到達する。


「霞、気持ちいい?」

「やっ……聞か、ないでっ……」

「教えてくれなきゃわからない。ほら、どこ?」


まるで、まだオペの続きをしてるみたいに、意地悪に私を探る。


「んっ、ふう……んっ……」


私はビクンビクンと身体を震わせた。
霧生君が、ムクッと上体を起こす。
大きく身を乗り出し、サイドチェストのルームライトを点けた。


「や……電気、消して」


暖色の光に弛緩した身体を照らされる恥ずかしさで、私は身を捩った。
霧生君は、「ダメ」とすげなく呟く。


「同じ失敗、したくない」


引き出しから取り出した小さなパッケージを口に咥え、歯で千切るようにして開ける。
「霞」と私を呼び、ベッドを軋ませた。
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