孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
「ここじゃ人目につくから」と、男性に頭からスーツの上着を被せられ、私は半ば連行されるようにしてキャンパスを出た。
手を引いて連れて来られたのは、病院の最寄り駅前にある和風居酒屋。
カウンターの右端の席に通され、小一時間が経過し――。
「私、いつもこうなんれす……から、剛は悪くない……」
頭をユラユラさせながら、呂律の怪しい声で呟いた。
私の手には、もう三杯目の紫蘇焼酎の水割り。
カウンターには、焼き鳥とキムチの盛り合わせ、だし巻き卵にチャンジャの器が置かれていて、隣にはもっさりした男性がいる。
相変わらず眼鏡が邪魔で顔の大部分が見えず、なにを考えているかわからない。
いや……表情を読むまでもない。
ものすごく迷惑がってるはず。
困ってるはず。
なのにどうして、ここまで付き合ってくれるんだろう?
恋人と別れて泣いて、お酒が入ってくだを巻く女に。
さっきキャンパスを出たところで、あっさり放置もできたはずだ。
もしかして、さっきの謝罪は真意で、これも自分のせいだと思って付き合ってくれてるんだろうか。
男性は言葉を挟むでもなく、ただ静かにウイスキーを飲んでいる。
きっと、私に呆れ果てているだけ。
手を引いて連れて来られたのは、病院の最寄り駅前にある和風居酒屋。
カウンターの右端の席に通され、小一時間が経過し――。
「私、いつもこうなんれす……から、剛は悪くない……」
頭をユラユラさせながら、呂律の怪しい声で呟いた。
私の手には、もう三杯目の紫蘇焼酎の水割り。
カウンターには、焼き鳥とキムチの盛り合わせ、だし巻き卵にチャンジャの器が置かれていて、隣にはもっさりした男性がいる。
相変わらず眼鏡が邪魔で顔の大部分が見えず、なにを考えているかわからない。
いや……表情を読むまでもない。
ものすごく迷惑がってるはず。
困ってるはず。
なのにどうして、ここまで付き合ってくれるんだろう?
恋人と別れて泣いて、お酒が入ってくだを巻く女に。
さっきキャンパスを出たところで、あっさり放置もできたはずだ。
もしかして、さっきの謝罪は真意で、これも自分のせいだと思って付き合ってくれてるんだろうか。
男性は言葉を挟むでもなく、ただ静かにウイスキーを飲んでいる。
きっと、私に呆れ果てているだけ。