孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
それを『聞き上手』だなんて、自分に都合のいい解釈だろう。
だけどそのおかげで、私はさっきから一方的に喋り続けている。


「私、看護師なんです。世話好きだから看護師とか向いてるんじゃない?って、友達に言われて。私も、きっと天職だって真に受けて」


そうして看護師になったものの、病棟には配属されず、直接患者のお世話をする業務ではない。
天職だったかどうかは、八年目の今でもよくわからない。
でも……。


「言い方を変えたら、ただのお節介ですよね……」


そう――。
頼まれもしないことに首を突っ込む……私がこれまで付き合った彼にしてきたことは、過干渉に他ならない。


剛の前、看護大学二年生の時の彼は、別の大学の三年生で一人暮らしをしていた。
地方に住むご両親からの仕送りだけでは生活が厳しくバイト三昧で、食事は賄い、コンビニ弁当。
不規則で偏った食生活が心配で、一度食事を作りに行ったら、それが常態化した。
食事の心配がなくなった彼はバイトを辞め、家で私を……いや、ご飯を待つ生活になってしまった。


彼が就職するとほぼ自然消滅状態になり、私の残りの学生生活は、実習や国試の受験勉強一色になった。
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