孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
「僕はこの身体一つで、一生一人で生きていける。必要なのは自分の力だけ。だから僕は、勉強や能力、腕を磨くことにすべての時間を捧げてきた。そんな僕に、女遊びに費やす時間なんかあるわけがない」
ポカンとする私に、やけに饒舌に語り出す。
「僕の人生に、女は不要。不要な経験がないのは、恥ずかしいことじゃない。君だって、興味のないものに手を出したりしないでしょ」
「はあ……」
正論と言えば正論だけど、あまりに悦に入った様子が、むしろ胡散臭い。
とにかく、心中は考えていないようだから、私はなんとか気を取り直した。
「それなら、秘密とか共有とか言わずに、堂々としてれば……」
「でも、世の中の反応はそうじゃない」
私が言おうとすることを読んでいたのか、先回りして遮られた。
「三十にもなって経験がないなんて、よほど訳ありか欠陥があると決めつけられ、奇異の目で見られる。ほら、君がそうだったように」
「そんなっ! 私は……」
「違うって言える? 『まさか』って思ったんじゃない?」
ジロリと横目で睨んで制され、私も返事に窮した。
――弁解できない。
普通にしてたら女に不自由なさそうなイケメンが、優秀な脳外科医がまさか……と、色眼鏡で見てしまったのは確かだ。
私が黙って俯くと、霧生君も自分の手元に目を落とし、小さな吐息を漏らす。
ポカンとする私に、やけに饒舌に語り出す。
「僕の人生に、女は不要。不要な経験がないのは、恥ずかしいことじゃない。君だって、興味のないものに手を出したりしないでしょ」
「はあ……」
正論と言えば正論だけど、あまりに悦に入った様子が、むしろ胡散臭い。
とにかく、心中は考えていないようだから、私はなんとか気を取り直した。
「それなら、秘密とか共有とか言わずに、堂々としてれば……」
「でも、世の中の反応はそうじゃない」
私が言おうとすることを読んでいたのか、先回りして遮られた。
「三十にもなって経験がないなんて、よほど訳ありか欠陥があると決めつけられ、奇異の目で見られる。ほら、君がそうだったように」
「そんなっ! 私は……」
「違うって言える? 『まさか』って思ったんじゃない?」
ジロリと横目で睨んで制され、私も返事に窮した。
――弁解できない。
普通にしてたら女に不自由なさそうなイケメンが、優秀な脳外科医がまさか……と、色眼鏡で見てしまったのは確かだ。
私が黙って俯くと、霧生君も自分の手元に目を落とし、小さな吐息を漏らす。