愛人でしたらお断りします!


椿の隣りにちょこんと座っている優愛は、まだよくわかっていないのかキョロキョロと辺りを見回している。
椿と並んで座っている藍里の横で、陸仁は退屈なのか今にも席を立って歩きだしそうだ。
先輩園児が歌を披露してくれたのだが、声の大きさに驚いて泣き出した赤ちゃんもいた。
賑やかで和やかな入園式だ。

7月になれば、優愛は二歳になる。
おしゃまさんになってきたので、今朝はお気に入りのスパッツをはくと言ってきかず、せっかく可愛いセーラーカラーのワンピースを用意したのに着替えさせるだけでもひと仕事だった。

(明日から大丈夫かな)

椿は藍里と子どもたちを一緒に保育園に入れようと意気込んでいたのだが、いざとなると椿には心配なことばかりだ。
‶初めて”というのは、いくつになっても緊張する。
それが自分のことではなく、娘のことならなおさらだった。

あれこれと考えていたら、式は30分くらいであっという間だった。


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