愛人でしたらお断りします!
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突然なにを言いだすかと思っていたら、次々に面食らう言葉が椿の口からは飛び出してきた。
(いったいなにを考えているんだ……)
蒼矢はあきれを通り越して、必死になっている椿の顔をしみじみと見つめた。
成人しても、中身はまだ幼い頃のままだと思っていたが、家業のことは真剣に考えているのだろう。
深々と頭を下げる椿を見て、彼は祖父の言葉を思い出していた。
『お前に出来ることはなんでもして、椿ちゃんの力になってやりなさい』
(あの言葉はこうなることを予測していたのか)
椿を助けるためなら、祖父は蒼矢がなにをしても認めるということだ。
「私、なんでもするから、会社を助けてください!」
また椿は蒼矢に嘆願してくる。
その言葉を聞いた蒼矢はニヤリとしたのだが、頭を下げたままの椿の目には入っていない。
「なんでも? あの叔父からプティット・フルールを守るためならなんでもするんだな?」