愛人でしたらお断りします!
椿はただ、蒼矢が言いかけて口を噤んでしまった言葉を聞いてみたかったのだ。
(私と蒼ちゃんの関係って、なんだろう?)
改めて問われると、答えが見つからなかった。
蒼矢は幼い頃から椿の側にいて、困った時にはいつも助けてくれた人だ。
勉強だったり、友達関係だったり……椿はいつも行き詰まったら蒼矢の助言を求めてきた。
(もしかしたら私、蒼ちゃんに頼り過ぎていたのかも……)
だから蒼矢は、椿にそれを指摘しようとしたのかもしれない。
父親の後を継いだ以上、しっかりしろと言いたかったのだと思い至った。
(今のままではダメなんだ)
一年以内に彼をKUGAコーポレーションへ帰すためにも、彼女自身が蒼矢から独り立ちしなければと、改めて椿は強く心に誓うのだった。