愛人でしたらお断りします!
いきなり彼の理性は吹っ飛んだ。
いつからなのか自分でも気がつかないうちに、蒼矢は椿を愛おしいと思い始めていた。
いつかは椿を自分のものにしたかった。それが今夜でも構わないはずだ。
『俺は、おまえとこうしたかった』
後から椿を抱きしめたら、ふっくらしていると思っていた身体は脆くて壊れそうに小さかった。
力任せに自分の方を向かせると、たまらなくなって衝動的に唇を重ねた。
思っていた通り、柔らかくて瑞々しい唇だ。
慣れていないのか、キスされているのにも気がつかない椿。
(誰ともキスしたこともないのか)
椿の初めてのキスを自分が奪っていると思うと、蒼矢の心は満ち足りた。
そっとソファーに横たわらせると、彼女の身体の震えを感じる。
やっと自分になにが起こっているのかわかったのだろう。
だが、蒼矢の動きは止まらない。
少し痩せたようだったが、弾力と張りのある胸もその先の愛らしい蕾も想像とおりだった。蜜を含んでいるかのように、甘くて旨い。
それを味わっていたら、ぎこちなかった椿も少しずつ反応を見せてきた。
その時、確信した。
(椿も、俺を求めている)
椿の思いを受け止めるのに、ここではダメだと思って彼女から離れた。
そして力が抜けてしまったままの椿に、蒼矢は正直な気持ちを伝えた。
『俺は、いつでもお前とこういうことが出来る関係でいたいんだ』
椿に思いは伝わったはずだ。
椿は言葉もなく、ただポッと頬を染めていたのだからだ。