愛人でしたらお断りします!
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「来ちゃった」
椿のその言葉を聞いた瞬間、蒼矢は身体中の血液が沸騰するかと思った。
「椿、いいんだな」
それからはふたりの間に言葉はいらなかった。
椿がなにを求めて来たのか、蒼矢にもすぐにわかったからだ。
この前は途中で終わらせたが、ふたりの間になにが起こるかは椿にもわかったはずだ。
もう蒼矢は我慢の限界だった。
「優しくしてね……私、慣れてなくて」
慣れるどころか、椿にとって初めての夜になる。
椿をそっと抱きしめながら、蒼矢は自分に言いきかせるように呟いた。
「わかってる。無理はさせない」
椿を乱暴に扱うわけがない。ずっと大切に思ってきたのだから。
「お前が嫌なら、やめてもいいんだぞ」
「やめないで‥‥‥‥」
その言葉で心に火がついた蒼矢は椿をギュッと抱きしめた。
「お前から来てくれたんだ。もう遠慮はしないぞ」
「蒼ちゃん……」
蒼矢はベッドに椿を横たえると、ゆっくりと服を脱がせていく。
けっして急がない。椿が焦れるくらいに少しずつだ。
恥ずかしさを感じさせないようにと、首筋から指先にまで優しい愛撫を繰り返す。
彼女の身体が慣れてくると、まろみのある胸を思う存分味わう。
昔から柔らかそうでいい匂いのする女の子だった。
今の椿は、もっとなめらかな肌になっていて蒼矢を虜にする。
触れても、キスしても、身体中どこもかしこも蒼矢を夢中にさせるのだ。
「椿……お前だけだ、俺が欲しいのはお前だ」
「ホント?」
「……椿……」
蒼矢はひと晩中でも椿を抱ける勢いだったが、さすがに明け方には深い眠りに落ちていた。