愛人でしたらお断りします!
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「店長、いかがですか?」
「ああ、いい具合に焼き色がついたね」
美味しそうに焼き上がったタルトタタンを見て、拓郎は満足そうに頷いた。
「この後、カスタードクリームを作ってみてもいいですか?」
「この前言ってた、試作品のシュークリームに使うクリームかい?」
「はい! 少しでも濃厚なクリームが作りたくて」
祐次と椿がレシピを話し合っていたら、ひょっこり藍里が顔を覗かせた。
「お疲れさま!」
「藍里、どうしたんだい? 子どもたちは?」
「笹本屋の人たちが、うちの陸仁と椿ちゃんとこの優愛ちゃんを離さなくって、こっちの店番に来ました!」
藍里はいつも陽気で、笑顔が眩しい元気な人だ。
手のかかる年頃の子を、嫌な顔ひとつせずに預かってくれている。
おまけに笹本の実家、湯の町せんべいの店でも時々子供たちを見てくれるのだ。