婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
「蛍さんのお母さまにご報告はしたの?」

「いえ、まだしてないんです。近々したいとは思っていましたが、母以外への報告は安定期を過ぎてからの方がいいと思っていまして」

「あぁ、早くお父さんにも教えてあげたいわ! あの人、きっと大喜びするわよ!」

「両家の家族への報告は、蛍の体調を見つつ近々したいと思う。それまで、父さんには秘密」

「私、隠し事って無理なのよ。お父さんの顔見たら、ポロッと言っちゃうかもしれないわ!」

「そこは我慢して。光明にも秘密だからな」

「はーい⋯」

智明に念を押され、お義母さまは渋々だが首を縦に振った。

何があるか分からないし、慎重にいかなきゃね。

「智明、あんまり蛍さんに負担かけちゃダメよ。家事とかも代われるところは代わりなさい」

「いえ、それは私の仕事ですから今まで通りやります。智明は仕事も忙しいので」

「仕事を理由に大事な奥さんを蔑ろにする男はダメよ。そんなことされたら、離婚するべきよ」

いつも思うけど、お義母さまってすごく頼りになるよなぁ。

何かあれば私の味方になってくれるし、息子だからといって甘やかさないで、智明にも光明くんにも言うことはズバッと言うし。

私も将来こうなりたいなぁなんて、憧れる。
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