婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
それからしばらく話し込んで、次は私の実家に行かなきゃならないということで、早々に高峰家をあとにした。

「蛍、疲れてない? 少し時間あるし、椅子倒してゆっくりしてなよ」

「大丈夫だよ。緊張解けたら、一気に肩の力抜けた気がする」

「今日の蛍、すごいガチガチで背筋ピーンとしてて隣で見てる分には相当面白かったよ」

「面白かったなら何よりです」

こっちは心臓飛び出すんじゃないかってくらい緊張してたのに、智明は実家での私の姿を思い出したのか、1人でケラケラと笑っていた。

まったく、何が面白いのか教えて欲しいくらいだわ。

しばらく車に揺られ、ようやく私の実家に到着。

お互いの実家を1日で回るとなると、結構距離が離れているから地味に大変だったりする。

まぁ、そんなこと言っても仕方ないことは分かってるんだけどね。

「ただいま〜」

「お邪魔します」

「いらっしゃい! 早く家に入りなさい」

「わざわざこんなところまでありがとう。相変わらず何もないけど、上がっていきなさい」

実家に着くと両親が揃って迎えてくれて、懐かしい雰囲気に包まれる。

高峰家よりは緊張しないけど、やはり妊娠報告というのは多少なりとも緊張するわけで。

早めに報告して、楽になりたいです。切実に。
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