婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
「次で出るからね、お母さんもう少し頑張るよ」

「はいっ…!」

助産師さんの合図でいきみ、元気な産声が聞こえた。

「おめでとうございます、元気な男の子ですよ」

「男の子…って、智明泣きすぎじゃない?」

「これが泣かずにいられるか。そういう蛍も、涙で顔ぐしゃぐしゃだぞ」

「だってぇ〜…」

2人で顔をぐしゃぐしゃにして、我が子の誕生日を心から喜んだ。

すごい痛かったし、何度も心折れそうだったけどこの子の顔を見たら全部どうでも良くなった。

だって、私たちのところを選んで来てくれたんだもんね。

「蛍、ほんっとうにありがとう」

「智明が感謝するなんて珍しいね。でも、私こそありがとうね」

私がお礼を言うと、再び涙で顔をぐしゃぐしゃにした智明。

こんなに喜んでくれるなら、頑張った甲斐があるってもんよ。

そこからはあれよあれよという間に病室に戻され、廊下にいた両家の両親や光明くんにたくさんお祝いしてもらった。

男性陣は涙で顔がぐしゃぐしゃで、お父さんなんか何を言ってるか分からないくらい泣いていた。

おめでとうって言ってるのよってお母さんが言ってたけど、ほんとに何言ってるか分かんないくらい泣いてたな。
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