婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
お義父さまとお義母さまからの提案を元に名前を考え始めること、早くも1時間が経過した。

誰も考えがまとまってなくてしばらくの間、沈黙に包まれていたが私がその沈黙を破った。

「あの…私、1つ思いついたんですけどいいですか?」

「ぜひ聞かせてくれ」

「明るい将来になるようにという意味を込めて、明将という名前はどうでしょうか」

私がそう言うと、再び沈黙が訪れる。

え、なんかヤバいこと言っちゃった?

「蛍さん」

「は、はい! なんでしょうか」

「とてもいい名前だ。この子に相応しい。智明、お前もそう思わないか?」

「あぁ、最高の名前だ。目から汗が出て仕方ない」

「智明ったらボロ泣きじゃない。明将くん、ばあばですよ。これからよろしくね。ほら、パパとママも挨拶して、じいじも」

「明将、俺がパパの高峰智明だ。ママのこと独り占めしたらパパが許さないからな」

「ちょっともう、何言ってるの。明将、ママの名前は高峰蛍です。パパに何かされたらすぐ言うんだよ」

「私がじいじだ。じいじとばあばはもう1人ずついるんだぞ。明将はきっとイケメンになるな」

「きゃははっ!」

1人ずつしっかり明将の目を見て挨拶すると、明将は声を上げて笑った。
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