婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
次の日、私と明将は退院の日を迎えた。

生まれてから特に問題もなく無事退院の日になり、心からホッとしている。

「蛍、忘れ物はないか?」

「大丈夫なはず。15:00頃、お父さんとお母さんが明将の顔見に来るって」

「ちゃんと覚えていたから大丈夫だよ。蛍と明将を家に送ったら、お茶菓子でも買いに行く予定」

「そんなち気を使わなくていいのに。私もお義父さまとお義母さまに、大したことしてないから」

「俺がしたいだけだ。蛍が俺の両親を大切にしてくれているのは知っている。だから気にするな」

「ありがとうね」

家に向かう車の中で、ぐっすり眠る明将の顔をじっと見つめる。

私たちが話をしているのに、明将は起きることなくすやすやと寝息を立てて眠っている。

「病院にいた時も思ったけど、明将ってあんまり泣かないんだよね。夜泣きとかも少ないし、私の方が寝てるかも」

「ママが疲れているから寝かせたいんじゃないか? 蛍が寝ている間、俺があやしている時なんかはすごい泣くし」

「え、そうなの?」

「あぁ、ずっと泣いている。オムツは交換させてくれないし、ミルクは拒否される」

「そうなんだ…あ、ミルクは私も嫌がられるよ。おっぱいじゃないと飲まないの」

「この変態息子め」

私の前ではすごくお利口だから、智明の時はまったく寝ないなんて全然知らなかったな。
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