婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
それから、結婚式当日まで準備に追われて目が回るほど忙しい日々を過ごした。

そして、結婚式当日。

「やばい、緊張する。心臓飛び出しそう」

「蛍はいつも緊張してるね。深呼吸してごらん」

「逆になんで緊張しないわけ? あんなに大勢いるのに⋯」

「参加人数はあらかじめ把握してるし、緊張することなんか何もないよ」

やだ、この人、ほんとに怖いもの知らずなの?

いつも通りのケロッとした顔して、足を組んで優雅に椅子に座ってるとか有り得ないんですけど。

「蛍、結婚おめでとう」

「お母さん、ありがとう!」

「智明さんも、おめでとうございます」

「ありがとうございます。蛍さんを、一生幸せにします」

「蛍、幸せ者ね〜」

お母さん、騙されてるよ。

この人の本性、見せたいです。はい。

「蛍さん、本当に綺麗ね」

「お義母さま、ありがとうございます!」

「智明さん、蛍と一緒に暮らしてご迷惑お掛けしていないかしら?」

「えぇ。とても幸せな毎日を過ごしております」

「蛍さん、もし智明に何かされたらすぐ教えてね。一発ぶん殴るから」

「はい、分かりました!」

お義母さま、流石です。

何とも心強い味方がいて、本当に助かる。
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