婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
"新郎新婦ご入場です!"

そのアナウンスと共に、割れんばかりの拍手が響く会場へと足を踏み入れた。

改めて見ると、やっぱり人多すぎるよ。

チラッと智明の顔を見ると、堂々とした顔でしっかり立っていて。

その顔を見て、少し安心した。

「新郎 高峰智明、あなたは高峰蛍を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい、誓います」

「新婦 高峰蛍、あなたは高峰智明を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「はい、誓います」

「それでは、誓いのキスを」

私と智明は向かい合い、お互いの目をしっかり見つめる。

これから、大変なことも沢山あるだろう。

だけど、この人となら乗り越えていけそうな気がする。

「蛍、これから俺の妻としてよろしくね」

「こちらこそ、よろしく」

私たちが触れるだけのキスを交わすと、会場は祝福ムードに包まれた。

智明、これから末永くよろしくね。
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