婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
「結婚式、無事に終わって良かったね」

「あぁ、流石に俺も疲れた」

「私も終わった途端、安心感で疲れが一気に押し寄せてきた」

「何事もなく終わって本当に良かったよ」

結婚式はものすごい順調に進み、幸せな気持ちのまま幕を閉じた。

だけど、流石に智明も私も疲れて今はソファの上で寛いでいる。

「ていうか、今日なんでホテルなの? しかもここ、すごい有名なとこじゃん⋯」

「招待客の中に、このホテルの経営者がいてもし良ければって結婚祝いに部屋用意してくれたんだよ」

「へぇ、そうだったんだ。夜景もすごく綺麗だし、サービスも充実してていいホテルだね」

たしか、この部屋に来るために乗ってきたエレベーターのボタンは最上階だった気がする。

それに、めちゃくちゃ高そうだし。

「疲れたし先に風呂入るか」

「うん、お湯溜めて来る」

「俺が行ってくる。だから、蛍はゆっくりしてて」

智明はそう言うと、私の返事を聞かずにお風呂場に行ってしまった。

え、ちょっと待って?

今気づいたけど、今日って俗に言う初夜ってやつですかね!?

実際にはもう何度もシてるから、初夜っていう表現が合ってるのか分からないけど。

でも、結婚式後は初めてだし、一応初夜ってことになるのかな。
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