婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。

ドイツに行くってよ

「ねぇ、智明」

「どうした?」

「私が言いたいこと想像つく人手上げて〜」

「はーい」

「なんで新婚旅行日本と海外どっちもなの!?」

「どっちも魅力的だしいいじゃん」

たしかに、どっちも魅力的だけどさ?

さすがに贅沢しすぎゃない?とも思うわけで。

「それで、何も聞かされず飛行機に乗せられたけどこの飛行機はどこに向かってるの?」

「ドイツ」

「最初ドイツ!?」

「蛍行きたいって言ってたじゃん」

「覚えててくれたんだ?」

「そりゃあね。可愛い可愛い蛍ちゃんが行きたいって言ったとこは覚えてるよ」

めっちゃ嬉しいこと言われてるのに、馬鹿にされてる気分になるのはなぜでしょうか?

ていうか、私結婚式で光明くんに会えなかったんだよね。

お仕事忙しくて、海外からお祝いしてくれたの。

「光明くん、どこの国にいるの?」

「今から行くとこ」

「え、ドイツで働いてるの!?」

「いや、出張だよ。光明もうちの会社で働いてる」

「それもそうだよね⋯」

そういうのって、社長である智明が行くんだと思ってた。

「今回はたまたま光明だっただけで、普段は俺が行ってんだぞ」

「絶対エスパーでしょ。いつか正体暴いてやる」

国内だけの出張だと思ってたから、ちょっとびっくりした。

流石大手製薬企業だなって感じだ。
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