婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
智明の案内で色んなところを巡り、オシャレなカフェに入る。

朝ご飯をしっかり食べたのに、もう腹ペコだ。

「腹減ったな」

「うん、朝ご飯結構食べたんだけどな」

「割と歩いたし、外暑いから体力消耗してんだろ」

「日本に帰って体重計に乗るのが怖いよ⋯」

新婚旅行から帰ったら太りましたなんて、周りから幸せ太りだって言われるに違いない。

「これ美味いよ」

「ほんとだ、すごい美味しい」

「さっき店員さんに聞いたら、家庭でも簡単に作れるって言ってたよ」

「そうなんだ! 今度レシピ調べてみよう!」

「そう言うと思って、レシピ書いてもらったよ。ドイツ語だけど⋯」

「ある程度のドイツ語なら大学で習ったし、読めるから大丈夫!」

智明から受け取ったレシピは外国人でも読みやすく書いてあって、すぐに内容を理解することができた。

ドイツ語は得意科目だったから、今回の旅行は通訳に頼ることなく楽しめている。

「そういえば、光明が蛍にまた会いたいって言ってた」

「そうなの?」

「俺は会わせたくないって言ったんだけど、器小さい男は嫌われるよって言われた」

「光明も言うねぇ」

智明にそんなこと言えるの、光明くんだけじゃないかな。

私でさえそんなこと言えないもん。
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