婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
結局、光明くんはその女性との交際をお断りしたらしく、私たちと共にドイツを後にした。

「光明、振っちゃって良かったのかよ」

「よく考えてみれば、その女性のこと詳しく知りませんし。付き合ったとしても遠距離もいいところなので、お断りしたんだ」

「だからって、蛍は渡さないからな」

「え、私?」

「兄さん、そんなに心配しなくても大丈夫。僕もそのうち素敵な女性を見つけるから」

きっと、光明くんは智明と同じで女性を大事にするタイプだ。

私自身すごく大切にされてるし、こんなに幸せでいいのかなって思ってしまう。

「それで、智明。そろそろ次の目的地教えて欲しいんだけど?」

「次の目的地は、北海道だよ。一度行ってみたかったんだよね」

「私も北海道に行くのは初めてかも」

「僕も初めてだ」

「お前、やっぱりついてくるんだ」

「蛍も了承してくれたし、ついて行くよ。将来の新婚旅行の参考にしたいし」

「絶対に邪魔だけはするなよ」

「はいはい、分かってるよ」

智明と2人で始まった新婚旅行だけど、光明くんも混ざって益々賑やかになった。

こんなに真面目でしっかり者で、だけどお茶目な義弟ができるなんて、思いもしなかったな。

なんやかんやあったけど、私たちは無事に北海道に到着した。
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