婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
「ジンギスカン美味かったな」

「本場の味だったね!」

「こんなに食ったの久しぶり」

ジンギスカンを食べ終える頃には私たちはみんな満腹で、腹ごなしも兼ねて少し散歩することにした。

「智明、疲れたの?」

「いや、疲れてない。まだ若いから」

「その割には肩で息をしてるけど大丈夫?」

「光明、お前俺のことおんぶしろや」

「できるわけないでしょ。普段運動しないからそんなことになるんだよ」

「あそこのベンチに座って少し休憩しよっか。私も疲れてきちゃったし」

そう言うと、智明は今まで見たこともないくらい嬉しそうな顔をして頷いた。

そんなに疲れてたなら言ってくれれば良かったのに。

「やっぱ北海道いいことだな」

「うん、また来たいね」

「その時は僕にも声掛けて」

「嫌だね。次こそは絶対蛍と2人で来る」

3人での旅行もすごく楽しかったけど、やはり智明は私と2人で旅行したかったらしく。

今回の旅行中、何度この言葉を聞いたか分からないくらいそうボヤいていた。

「お義父さまとお義母さまにお土産買わないと」

「うちの両親は買わなくていい。蛍のご両親のお土産見に行くぞ」

智明はそう言ってたけど、やっぱりお土産は買って行きたいよね。

それが礼儀ってもんだろうし。
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