婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
「お土産どうしよう⋯」

「無難なのは菓子類だろうけど、形に残るものの方がいいのか?」

「めっちゃ悩むよね⋯」

「兄さんも蛍も悩みすぎじゃない? 落ち着いてみればお土産にぴったりなの結構あるけど」

たしかに、落ち着いてみると色んなお土産が売っていることに気づく。

こんなに種類あれば、良さげなもの選べそうだな。

「やっぱり定番はこれだよね⋯」

「北海道土産といえば、って感じだもんな」

「でもこれが安牌じゃない?」

「だな、これにするか。そんで、光明はなんで俺らと同じカゴにお土産入れてんだ?」

「会計分けたら大変だろ」

「はぁ、帰ったら請求書書くからな。絶対払えよ」

智明はそう言ってたけど、多分請求書なんか出さない。

なんだかんだ光明くんラブなのはお見通しだもんね。

「兄さん、そろそろ店出ないと。人寄ってきてる」

「会計終わったから俺は出れる。蛍、俺から離れんなよ」

「うん、分かった」

芸能関係者じゃないとはいえ、やはり大手企業の社長として智明は世間に顔が割れてるわけで。

その弟である光明くんと2人でいるとなれば、自然と人が集まってきた。

やっぱり大勢の人に囲まれるのは未だに慣れないな。
< 45 / 146 >

この作品をシェア

pagetop