婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
私としては中村さんの件は腑に落ちたけど、智明はまだ何か考えているような顔をしていた。

そして、ものすごく真面目な顔をしてこう言った。

「さて、次は蛍が俺と別々に風呂に入りたいって言った件について話し合おうか」

「⋯え?」

「だから、蛍が俺と別々に風呂に入りたいって言った件について話し合おうかって言ってるんだけど」

「それはちゃんと聞こえてるんだけど、話し合うようなことですかね⋯?」

「当たり前でしょ。俺は蛍のこと充電したかったのにさ」

「だって⋯先に寝てていいよって言ってたし、中村さんとシて来たのかと思って」

「ふーん、蛍は僕が浮気したって言いたいんだ?」

「もう疑惑晴れたし、今はもう疑ってないよ」

私がそう言っても、智明はなかなか納得してくれない。

でも、一緒にお風呂入れない原因作ったのは智明だと思うの私だけ?

「明日からまた一緒に入ろうよ」

「あ、いいこと考えた」

「私の話聞いてた?」

「明日から一緒に入ろうってことでしょ? でも、俺はもっと名案が浮かんだんだよね」

「嫌な予感しかしないのは気の所為?」

「うん、気の所為。てことで蛍、ベッド行こ」

「今日はシないからね!?」

「拒否権ないでーす」

必死の抵抗も虚しく、智明に抱っこされて寝室に連れて行かれた。
< 57 / 146 >

この作品をシェア

pagetop