"密"な契約は"蜜"な束縛へと変化する
奨学金制度もあったが、父が思うように動き回れないので、母一人では過労になってしまう。他の誰かを雇う余裕などないのも分かっていたから、私が手伝うと決めたのだ。
だから、美系に進みたいなんて言わなかった。例え、進んだとしても、体力的に母一人に任すことは出来ないと思ったから。
「萌実、今までありがとう。頑張ってくれた分、萌実はこれから自分が好きなことをしたら良いのよ」
母は申し訳なさそうにそう言ったけれど、私はどうしたら良いのか分からなかった。今更、何をどうしたら良いの? 弁当屋で働いている内に25歳になり、夢だとか希望だとか、完全に見失っていた。
「ごめんな、父さんのせいで。長い間、萌実には辛い思いをさせたな。弁当屋の土地を売ったお金が入るから、萌実はそのお金で好きなことをしなさい。先方は大学に行く資金位は充分に出してくれるそうだ」
母の話の後に父も続いた。痛々しい程の優しい笑顔の両親。そんな両親を見た私は急に涙が浮かんでくる。諦めた人生観が甦り、ボロボロと涙をこぼす。あの時に飲み込んだ夢が、また顔を出す。
本当はね、大学で絵画について勉強をしたり、絵本作家を目指してみたり、はたまたイラストレーターにも興味があって憧れていた。絵に携わる仕事がしたかった。
胸に秘めた悔しさとやるせなさがこみ上げてきて、嗚咽を漏らしながら泣く。
だから、美系に進みたいなんて言わなかった。例え、進んだとしても、体力的に母一人に任すことは出来ないと思ったから。
「萌実、今までありがとう。頑張ってくれた分、萌実はこれから自分が好きなことをしたら良いのよ」
母は申し訳なさそうにそう言ったけれど、私はどうしたら良いのか分からなかった。今更、何をどうしたら良いの? 弁当屋で働いている内に25歳になり、夢だとか希望だとか、完全に見失っていた。
「ごめんな、父さんのせいで。長い間、萌実には辛い思いをさせたな。弁当屋の土地を売ったお金が入るから、萌実はそのお金で好きなことをしなさい。先方は大学に行く資金位は充分に出してくれるそうだ」
母の話の後に父も続いた。痛々しい程の優しい笑顔の両親。そんな両親を見た私は急に涙が浮かんでくる。諦めた人生観が甦り、ボロボロと涙をこぼす。あの時に飲み込んだ夢が、また顔を出す。
本当はね、大学で絵画について勉強をしたり、絵本作家を目指してみたり、はたまたイラストレーターにも興味があって憧れていた。絵に携わる仕事がしたかった。
胸に秘めた悔しさとやるせなさがこみ上げてきて、嗚咽を漏らしながら泣く。