"密"な契約は"蜜"な束縛へと変化する
紅茶をゆっくりと飲み干した後も秋吾さんと休憩を楽しむ。
「そうだ、秋吾さんに伝えたい事があります。あれから、りりちゃんと何度か電話をしたり、メッセージのやり取りをしました。学校からのバイトの許可を貰ったとの事で、りりちゃんにはうちの弁当屋さんでアルバイトしてもらう事になりました。その方が色々と安全ですし、土曜日の昼間と平日の夕方は、りりちゃんが入ってくれる日もあるので、秋吾さんと会える時間が更に増えますね」
「そうでしたか……! 坂口さん、最近、何だか嬉しそうにしてました。ご両親の方も美大受験の件を何とか説得出来そうですし、このまま上手く乗り切れる事を祈ります」
「りりちゃんね、秋吾さんみたいに親身になってくれて優しい先生になりたいと言ってましたよ。りりちゃんて、本当に可愛いですよね」
私はフフッと笑うと秋吾さんは照れくさいようで、「教師は憧れだけで務まる程、そんなに甘くないですよ」とつっけんどんに呟いた。本当は嬉しいと顔に書いてある、秋吾さん。見ない振りをしていたけれど、口元が緩んで口角が少しだけ上がっているもの。
「りりちゃんも前向きに考えているので、私もどうするか真剣に考えますね。今の所は移転して弁当屋を続けながら、私は通信制の美大に通いたいなとも思っています」
「萌実さんが決めた選択肢ならば、全力で応援します。考えが変わったら、その都度、お話して下さいね」
秋吾さんは私の進路相談をしてくれる。こんなに親身になって聞いてくれる先生って良いなぁ。何だかんだと話し込んで、きっと30分は経ったかもしれない。
そんな時、優しい春風が吹いて、はらはらと桜の花びらが舞った。先生の頭の上に折れた桜の小さな枝が乗ったので、そっと手を伸ばす。
「そうだ、秋吾さんに伝えたい事があります。あれから、りりちゃんと何度か電話をしたり、メッセージのやり取りをしました。学校からのバイトの許可を貰ったとの事で、りりちゃんにはうちの弁当屋さんでアルバイトしてもらう事になりました。その方が色々と安全ですし、土曜日の昼間と平日の夕方は、りりちゃんが入ってくれる日もあるので、秋吾さんと会える時間が更に増えますね」
「そうでしたか……! 坂口さん、最近、何だか嬉しそうにしてました。ご両親の方も美大受験の件を何とか説得出来そうですし、このまま上手く乗り切れる事を祈ります」
「りりちゃんね、秋吾さんみたいに親身になってくれて優しい先生になりたいと言ってましたよ。りりちゃんて、本当に可愛いですよね」
私はフフッと笑うと秋吾さんは照れくさいようで、「教師は憧れだけで務まる程、そんなに甘くないですよ」とつっけんどんに呟いた。本当は嬉しいと顔に書いてある、秋吾さん。見ない振りをしていたけれど、口元が緩んで口角が少しだけ上がっているもの。
「りりちゃんも前向きに考えているので、私もどうするか真剣に考えますね。今の所は移転して弁当屋を続けながら、私は通信制の美大に通いたいなとも思っています」
「萌実さんが決めた選択肢ならば、全力で応援します。考えが変わったら、その都度、お話して下さいね」
秋吾さんは私の進路相談をしてくれる。こんなに親身になって聞いてくれる先生って良いなぁ。何だかんだと話し込んで、きっと30分は経ったかもしれない。
そんな時、優しい春風が吹いて、はらはらと桜の花びらが舞った。先生の頭の上に折れた桜の小さな枝が乗ったので、そっと手を伸ばす。