"密"な契約は"蜜"な束縛へと変化する
「この白くてすべすべな手も、まだ見ぬ胸や萌実さんの全てが自分のモノになるんですよ。あぁ、待ち遠しいです!」

「や、止めてもらって良いですか! そーゆー発言は!」

私は秋吾さんを振り切り、自分の手を背中側に隠した。時々、変態チックな発言と行動をするので対応に困る。

「では、萌実さんも遠慮なく言っても良いんですよ。私は大歓迎ですからね! 寧ろ、萌実さんのモノだと言われたいです!」

「ぜ、絶対に言いません!」

秋吾さんは性懲りもなく、私にも言葉を求めてくる。ストレートに言われるのは嬉しいけれど、恥ずかしくて耐えられない。そして、私からなんて絶対に言えない……!

火照り気味の顔が熱い。まともに秋吾さんの見れなくて俯いてしまう。

「んっ、」

「隙あり、ですよ。萌実さん」

そんな時に不意打ちで唇を重ねられる。こういう時、スムーズに手を出して来るので初心者ではなさそうに思ってしまう。

どんなに恥ずかしくても秋吾さんからだと受け入れてしまう自分が居て……、お泊まりの日もどんな風になってしまうのか不安である。

「萌実さんが痛くないように、ちゃんと勉強していきますからね。そこは安心して下さい!」

「だから、口に出さないでっ!」

唇が離された後、ドヤ顔で言われたので上目遣いで睨み付ける。

「逆効果なんですよ、その顔は……」

再び、後頭部を手で押さえて唇を塞がれた。先程とは違う、深いキスに翻弄されてしまう。

この男、甘々スイッチと変人スイッチの切り替えが未だに謎である……。
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