"密"な契約は"蜜"な束縛へと変化する
先に降りた彼女は、私達が降りたのを確認して一礼をしてから歩き出した。彼女も私達が目指している方面に向かって歩いている。彼女はかなりの早歩きの為、話しながらゆっくりと歩いていた私達は見失った。

バス停から五分くらい歩いた所にカフェがある。

「わぁ、素敵なカフェですね！」

道路沿いに建てられたカフェの周りは木々に囲まれていて、マイナスイオンが沢山出ていそうな雰囲気だ。オープンテラスもあり、今日は天気も良いので日光浴も出来て気持ち良さそう。

カフェに入るとちょうど満席になってしまったらしく、名前を書いて待つように促された。私達は名前を書き、店内の販売コーナーを見て回る。

「ここはスコーンが美味しいって口コミに書いてありましたね。あとコーヒーも。帰りにお土産として買おうかなぁ……」

「そうですね。コーヒーの良い香りも漂っていますし、ご両親のお土産にしましょうか」

両親は朝起きてから目覚めの一杯として朝食前に珈琲を飲むのが習慣なので、美味しいものをお土産にしたら喜ぶと思う。空きっ腹に飲むのは良くないかもしれないが、それが長年連れ添っている夫婦の習慣ならば口出しはしない。

「お待たせ致しました、樋口様。テラス席が空きましたのでご案内致します」

お土産用の珈琲などを物色していると、席が空いたので店員さんから呼ばれる。私達は希望したテラス席に案内されると隣は、先程の降りますスイッチの彼女だった。
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