"密"な契約は"蜜"な束縛へと変化する
彼との初めて
夕食は懐石料理。地産地消の野菜がふんだんに使われ、地元ブランド牛のお肉が柔らかくてとても美味しかった。

お腹いっぱいになった後、庭に出て星を眺めている。

「秋吾さん、プラネタリウムみたいに星が沢山見えますね」

「そうですね。吸い込まれそうです」

上を見上げていると「みーつけた! めぐちゃん、温泉入らない?」と言って背後から抱き着いてきた。

「きゃっ!」

「めぐちゃん、Cカップ? それともD? 触り心地が良いね」

「や、やめて!」

背後から胸を揉まれて、女性同士なのに恥ずかしい。男性はもちろん、女性にもそんなことをされるのは初めてだったから……。

「奏、やめとけ」

私の前に立ちはだかる高身長のイケメン。もしかしたら、彼氏さん?

奏さんは男性に言われると、直ぐに手を胸から離した。

「すみません、うちの奏がご迷惑おかけして。実は奏は……」

彼氏さんらしき人が小さな声で私に話してくれた。奏さんは小さな胸を気にしすぎて豊胸手術をしたらしく、可愛い女の子を見ると自分の胸と比べる為に興味本位で胸を触ったりしてしまうらしい。

「そうなんですか! でも、すっごく綺麗でスタイルも良くて羨ましいです」

私は奏さんの出で立ちは気にならない。

「それから、彼氏さんが来てくれて良かった。奏さんが寂しそうにしてたから……」

そう言うと彼氏さんは申し訳なさそうな顔をしていた。

「めぐちゃん、ありがとう! 東京戻ってからも友達でいて欲しいな」

「はい、ID交換しましょ」

私は持っていたスマホで、奏さんとID交換をする。しかし、背後からはただならぬ黒いオーラを感じた。
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