溺愛ハンティング
 当然のことだが、カフェに入ると、八木さんは周囲の注目を一気に集めた。

 寒さで赤くなっていた鼻先も暖房のおかげでもとに戻り、全方向イケメンとしてみごとに復活していたのだ。
 しかもどういうわけか、一緒にいる私が気まずくなってしまうほどうれしそうな笑顔を見せている。

(いや、これはチャンスだから)

 せっかく八木さんと話す時間が作れたのだから、一分だって無駄にするわけにはいかない。

 丸テーブルに向かい合って座り、二人分のカフェラテが運ばれてきたところで、私は「どうぞ」とぎこちなく声をかけた。

「ありがとうございます、わかばさん。ごちそうになります」

 本当に寒かったのだろう。八木さんはカフェラテをひと口飲むと、大きくため息をついた。

「うまぁ……」

 私は思いきってリサーチを開始することにした。

「あの、八木さん。プラントハンターって、具体的にはどんなお仕事なんでしょうか?」
「ああ、ですね。よくわかんないですよね」

 きっと訊かれ慣れた質問なのだろう。八木さんはマグカップをテーブルに置いて、私と視線を合わせた。
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