溺愛ハンティング
 少し意地悪な質問だったが、プラントハンターを名乗る彼がどう答えるか知りたかったのだ。
 機嫌が悪くなるだろうか? それとも笑ってごまかすとか?

 けれども八木さんの反応はどちらでもなかった。

「宝の枝……うん、ありましたね。偽物のヤツ」

 八木さんは大きく頷いてから、ふと真顔になって、背筋を伸ばした。

「お客様が望まれるなら、俺はベストを尽くします。あらゆる情報を調べるし、どこにあっても必ず手に入れる。もちろんこの世に存在しないものは持ってこられないけど」

 淡々とした口調だったが、確かな自信が感じられる。
 これまでいろいろな経験を積んできたからこそ、言える言葉だという気がした。

「すみません、失礼なことを訊いちゃって」
「いえ、全然。それに最近は他の仕事も増えて、自分でも何やってるのかよくわからないんです」

 八木苑は本来の卸業も順調だが、今は公園整備やイベントの会場装飾、企業とのプロジェクトなども手がけているそうだ。

(なるほど空間デザインみたいな仕事もするわけね)

 それもまた重要な情報に思え、私は心の中でしっかりメモ書きする。

 その時、なぜか八木さんが笑い出した。
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