溺愛ハンティング
「では最後に、わかばさん!」

 鳴瀬若葉――「わ」で始まる名前だから、当然そういうことになる。

「はい」
「わかばさんか。とてもいいお名前ですね」
「あ、ありがとう……ございます。よろしくお願いします」
「はい、こちらこそ」

 八木さんにすれば、きっと何気ないやり取りだったのだろう。
 名前をほめてくれたのもただの植物つながりで、プラントハンターならではの反応かもしれない。

 けれどもその瞬間、ほんわりと華やいでいた空気が明らかに変わったのだ。

(うわぁ)

 それまで誰からもスルーに近かったのに、急に注目されたような、そして殺気とは言えないまでも、他の参加者がいっせいに敵に回ってしまったような――。

 さりげなく、だが鋭い視線が私に集中する。

 ――やだ。どうしてあんな子が?

 そんな心の声が聞こえたような気がしたが、たぶん間違っていないだろう。十人の中では群を抜いて地味なのだから。

 二十五歳なのに、私はけっこうな童顔だ。
 小柄なせいもあって、ノーメイクだと高校生、いや、もっとひどい時は中学生と間違われたこともある。
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