溺愛ハンティング
 短めの金髪で、日焼けした精悍な顔立ち。
 写真は胸から上を写したバストショットで、白いTシャツ姿だが、鍛えられた体つきなのが見て取れる。
 ひょっとしてアスリートだろうか?

 しかも笑顔はさわやかなのに、ちょっと危険な気配もして、いかにも女性にもてそうだ。

 私たちが困惑していると、堺さんは「はい、くじ引いてくれる?」と微笑んだ。

「くじ……ですか?」
「うん、君たちにひとりずつ選んでもらいたいんだ」

 とにかく言われるままにくじを引くと、境さんがおもむろに宣言した。

「では、お知らせします。突然ですが、ヴァレンタインがらみで緊急販促キャンペーン『BRUSH THE PLUSH』を行うことになりました!」
「えっと……」
「あ、意味わかんないよね。要するに、イケメンのビフォーアフターコンテストだよ。そういうわけでメンズフロアにいる、優秀な君たちが選ばれた」

 堺さんによると、『PLUSH』は豪華なものという意味だそうだ。

「この三人はそれぞれ業界を代表する注目の若手なんだ。しかもこのヴィジュアルだろ? もともとプラッシュである彼らを、うちのワードローブでさらに磨き上げてほしいんだ。で、エントランスホールにランウエイを作って、お客様に見てもらうわけ。その投票で順位を決める」
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