因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
迷わず頷いて微笑むと、ゆっくり光圀さんの影に覆われ、唇同士が触れた。
光圀さんとは違いクリスマスは何度も経験してきた私だけれど、今年は特別に記憶に残る二日間だと、キスの甘い感触に浸りながら思う。
本当は、太助くんのことを相談したい気持ちもある。
彼がどうして光圀さんの弟子になったのか、弟子なのに光圀さんを敬う態度が見えないのはなぜなのか。空木先生と一緒にいた彼がなにを考えているのか。そして、なぜあんな風に私に接近したりするのか……。
――でも、今は。
長いキスを終えた後、至近距離で彼と見つめ合いながら話す。
「お正月、着物にこれを合わせて光圀さんと初詣に行きたいです」
「ああ、行こう。夫婦で迎える初めての新年だ。良い年になるよう、ふたりで祈願しよう」
光圀さんと寄り添い、たわいのない会話で笑い合う、この平和な空気にもう少し浸っていたい。
だから、相談するのはもう少し後でいいや。
私は呑気にそう思い、彼からのプレゼントを長いこと幸福な気持ちで見つめていた。