因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
【これからパーティーだが、外は大雪だ。明日、時間通りに帰れないかもしれない】
そんなメッセージに添えられた金沢駅の画像を見て、目を丸くする。
鼓をイメージしたという骨組みが特徴的な駅のトレードマーク、鼓門。
その周囲は真っ白の雪景色で、積雪の高さも五十センチ以上ありそうだった。かつ、写真には振り続ける雪の粒も映っている。
【わかりました。お帰りの際はお気をつけてくださいね】
そう返事をしたが、すぐには既読が付かない。すでにパーティーが始まっているのだろう。
気を取り直し、片づけを再開する。
書架のどこになにを入れたのかも段々暗記してきたので、あとひと息だと自分を鼓舞していたその時――みし、と蔵の床が軋む、微かな物音が聞こえた。
音のした方を振り返ると、入口を背にして立つ太助くんがいた。
なかなか掃除が終わらない私を呼びに来たのかもしれない。そう思っていると、彼の背後でゴトン、と重い音が鳴り、一番外側の扉が閉まった。
続けてガチャリと、鍵を施錠される。
「えっ?」