因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「それを言うなら、淫らなきみを知っているのも俺だけだ」
光圀さんがお返しのように言って、私の頬にキスをする。途端に熱くなった頬を隠すように、彼の胸にギュッと顔を寄せる。
「意地悪言わないでください……」
「幻滅したか? これも本当の俺だが」
「……幻滅なんてしないって知ってるくせに、聞かないで」
すっかり意地悪モードの光圀さんにムッとして、敬語も忘れてそう言った私は、彼の体から離れてそっぽを向いた。
しかし、大きな腕がすぐに後ろから私を捕まえて、また抱き寄せられてしまう。
「悪かったよ。怒らないでくれと言いたいが、怒った和華もかわいくて困るな」
「困るのはこっちですっ」
「そうか……。しかし生憎、困った和華も好物でね。もっと困らせたいという、厄介な思考が湧く」
ふっと笑った彼の吐息が耳にかかり、びくっと身をすくめる。と、同時にウエストに絡められた手が、体のラインをなぞり始め、私は慌てた。
「あ、あの」
「まだ愛し足りない。……もう一度、淫らなきみを見せて」
内緒話のように囁かれ、甘い期待がぞくぞくと背筋を走る。
そしてうなじや肩、背中に繰り返し唇を押しあてられると抵抗の芽はあっさり摘まれ、私は再び光圀さんとの甘いひと時に溺れていった。