因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
式の後は披露宴を兼ねた夕食会のため、寺院からほど近い料亭に移動した。
両家の関係者が八十名ほど集まり、宴席は賑やかだ。私の方は両親、親戚、親しい友人、実家の店が所属する商店会の方々がお祝いに駆けつけてくれている。
光圀さんはご両親がすでに他界しているが、醍醐家で雇っている家政婦や弟子が家族代わりに参加している。
また、文化庁の高官や国立大学の教授、人間国宝に認定されている茶道家や能楽師など彼の特殊な仕事柄に関わる来賓も多く、光圀さんの人脈の多さに驚かされるばかりだ。
そんな中、私の父が庶民丸出しの千鳥足で新郎新婦席にやってきた。
「いや~本当におめでとう。和華の白無垢姿に、俺は涙腺が緩みっぱなしだったよ」
光圀さんの身に着けているものとはまるで違う、借り物の紋付き袴姿の父。いわゆるバーコード頭と、でっぷり突き出たお腹がチャームポイントだ。
一応経営者の端くれで、香木、線香などの卸売販売を行う『一式問屋』の店主。
私も結婚前までは、両親と一緒に従業員として働いていた。