因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました

 グサッと胸に刺さるひと言だった。私だって、決してお気楽に生きているわけではないけれど、結婚と引き換えに実家の援助をしてもらうのは事実だ。

「そんな言い方しなくても……。それに、いくらお金に困っていたって踏み越えちゃいけない一線って言うのがあるでしょう? お店の人にだって生活があるんだから、無銭飲食はやっぱり絶対にダメだよ」
「はいはい。つまらないお説教は醍醐先生で十分ですよ」

 馬の耳に念仏、といった感じで、太助くんはスタスタと先を歩いて行ってしまう。

 光圀さんも、彼には手を焼いているんだろうな……。

 思わずため息をついてから、私は慌てて太助くんの背中を追いかけた。


 夕食の買い物と昼食用のお弁当を購入した後、太助くんは約束通り花屋に寄ってくれた。

 重い荷物を持った彼を待たせるのも悪いので、「自宅用に季節の花を」と店員に簡単にリクエストをし、包んでもらう。

「ふふっ、きれい。これで部屋が少し華やぐかな」

 帰り道を歩きながら、クラフト紙に包まれた花に顔を寄せて微笑む。

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