因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
確認するように真顔で呟くと同時に、彼の親指が下唇をなぞる。
キスの感触を思い出してぶわっと顔に熱が広がり、まごまごと彼を見つめ返すことしかできない。
光圀さんはその仕草から私の未熟さを悟ったらしい。唇に当てていた指先をパッと離して、申し訳なさそうに眉根を寄せた。
「もしかして、初めてだったか?」
「は、はい……」
「ということは、男性経験も?」
「ないです」
光圀さんは口もとに手を当て、難しい顔で黙り込む。
もしかして、がっかりさせてしまっただろうか。恋愛したいと言われたところで、こんなお子様が相手では無理だと思われたんじゃ……。
「俺は自分で思うよりずっと、きみの大切なものを奪っていたんだな」
「えっ?」
光圀さんの呟きがとても悲しいものに聞こえて、胸がざわついた。
私、もしかして彼に新たな罪の意識を植え付けてしまった……?
「さっきも言ったが、この結婚はきみの望みを叶えるためのもの。和華がそう願うなら、俺も心からきみを愛すと誓う」
「光圀さん……」