因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました

「そう、ですね……。上限はともかく、最低一日一回というのは守っていただきたいなって。どんなに疲れていたり気分が塞いでいたりしても、夫婦でキスを交わせば、なんだか元気になれそうな気がしませんか? ……私だけかな」

 どんな理屈をこねても、キスをおねだりしていることに変わりはない。

 なんだか自分がすごく我慢のない女に思えて、ごまかすように軽く笑ってみる。

 けれど光圀さんは全然笑ってくれず、むしろ怒っているかの如く鋭い眼差しで私を射貫いた。

 ドキ、と耳の奥で鼓動の音がした瞬間、ぐいっと肩を押されて背中から布団に倒された。

 天井の木目が見えたのはほんの一瞬。

 私の視界は、四つん這いでこちらを見下ろす光圀さんだけになった。

「み、光圀さん?」
「……自分でも混乱しているが、きみが俺を見つめるたび、そしてなにか言うたびに、理性の糸が切れていくのがわかる。和華、今夜は自分の部屋へ逃げた方がいい」

 彼の理性の糸、その最後の一本が今にも切れてしまうかのように、光圀さんは眉を曇らせ苦しげだ。

 呼吸も浅く、肩が大きく上下している。

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