君しかいない
その夜、久しぶりに父と夕食を共にした。メインディッシュを成瀬と料理番の若林が父とわたしの前に運び、後ろに控えたところで父がわたしに話しかけてきた。
「最近はどうだ? 受付の仕事には慣れたか?」
「はい。と言っても自社内の受付嬢だし、仕事にも慣れて楽しくやってるわ」
「そうか。本来なら秘書課に配属して、経営や取引先との事を近くで見て覚えて欲しかったんだがな」
社長の娘が受付嬢をしていることを少し不本意に思っている父は、顔を見れば残念そうに未練タラタラな小言を言い始めるのが常で。どうやら今夜もお小言ルートを辿りそうな予感がする。
「まぁわたしは会社経営なんて出来そうにない器だって自己分析できてるから。一人娘の分際でこんなこと言うのは申し訳ないけど、この会社もお父さんの代で終わ……」
「と思ってな。成瀬、例のものを持ってきてくれ」
父に指示され成瀬がわたしに手渡してきた封筒。何も考えずに受けとり、中のものを取り出してみる。
「ん? なにこれ、誰かの写真?」
「最近はどうだ? 受付の仕事には慣れたか?」
「はい。と言っても自社内の受付嬢だし、仕事にも慣れて楽しくやってるわ」
「そうか。本来なら秘書課に配属して、経営や取引先との事を近くで見て覚えて欲しかったんだがな」
社長の娘が受付嬢をしていることを少し不本意に思っている父は、顔を見れば残念そうに未練タラタラな小言を言い始めるのが常で。どうやら今夜もお小言ルートを辿りそうな予感がする。
「まぁわたしは会社経営なんて出来そうにない器だって自己分析できてるから。一人娘の分際でこんなこと言うのは申し訳ないけど、この会社もお父さんの代で終わ……」
「と思ってな。成瀬、例のものを持ってきてくれ」
父に指示され成瀬がわたしに手渡してきた封筒。何も考えずに受けとり、中のものを取り出してみる。
「ん? なにこれ、誰かの写真?」