婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「やったー!」
自分の言い分が通って嬉しかったのか、歓声を上げてリッキー様が万歳をしました。
「こら、静かに」
すかさず、人差し指を口に添えてレイ様の注意が飛びます。
今の時間は、私たちの他に誰もいないとは言え、図書室ですものね。ここは使用人たちも利用可能だそうなので、他の利用者がいることもあり得ますから。
「あっ」
リッキ様は慌てて口を両手で押さえました。かわいい仕草に笑みを誘われます。
私はリッキー様の隣に座りました。
レイ様はL字型のソファの空いているところへと腰を下ろしました。レイ様の姿が斜めに見える格好です。
マロンは窓越しの日の当たる場所が気に入ったのか、レースのカーテンに隠れているみたいで、丸くなったシルエットがかわいい。