婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 一冊、読み終えると

「もっと、持ってくるね」

 ぴょんとソファから降りると、先ほどの書架の方へと足早に駆けて行きました。その後ろ姿をエイブが追いかけます。

「はあ……。一冊じゃすまないのか」

 顔を上げたレイ様が呆れたように大きくため息をつきました。

「本が好きな事はいいことだと思いますよ」

「それはわかっているし、本を読むのは否定はしないけど……」

「でしたら、いいのではないのですか?」

「まあ……」

 どこかしら煮え切らない態度で、言葉を濁すレイ様。何が問題なのかしら?

「レイ様が読んでいらっしゃるのはどんな本なのですか?」

 気分を変えるつもりで別の話題を振りました。
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