婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「初めての取引だったから多少は警戒はしていたけれど、何度か会ううちに人となりを知って主人共々、信用するに足る人物だと判断したの。外国を回っているだけあって、見聞も広くて参考になることばかりだったわ」
なんとも楽しそうなこと。シャロン様ってば、よっぽど気に入ったのね。
「チェント男爵家には、わだかまりはないのですね」
再度聞く。これは大事なこと。
「ええ。ないわね。感謝しかないわ。テンネル家の嫡男と縁が切れたのですもの」
こうして会うようになったのも、フローラから聞くエドガーの所業の悪さをシャロン様に手紙で伝えたのがきっかけ。
シャロン様も最初は信じられないようだったけれど、独自で調べた証拠を見せると納得してくれた。
それから、密かに手紙のやり取りや話し合いをして、どうすればよいか策を練るようになったのよね。