婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「いえ。咎めているわけではないのよ。ちょっと、珍しいものを着ていたから」

 苦笑気味なシャロン様。

 藤がデザインされた夜明けを思わせる東雲色のドレス。それにドレープもたっぷり使っているから、シンプルなものを好むフローラの趣味とは正反対。


「それ、わたしのドレスなんです。王宮にまだ袖を通していないドレスがあったものだから、着替えにと思ってフローラにプレゼントしたんですの」

「ディアナちゃんの? よかったの?」

「ええ。ローズ様が王宮で不自由しないようにと作って下さったもので、どうやって着こなそうかと悩んでいたので、フローラに着てもらえると嬉しいわ」

「まあ。そうだったの?」

「……」

 事の経緯を聞いて驚きつつも納得しているシャロン様とサーと青褪めて沈黙しているフローラ。

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